杉原創の研究ブログ

2016年1月3日日曜日

あけましておめでとうございます! ご報告

皆さま

あけましておめでとうございます、杉原です。

長らくブログをUPしていなかったのですが、
その間色々とありました。。。

とにかく、2つ、報告をば。

まず1つ目に、私は平成28年1月付で、
東京農工大学のテニュアトラック推進機構、という部署に異動になりました。
具体的には、農学部の土壌学研究室へ配属してもらい、
そこで特任准教授をやらせて頂く予定です。

今回の異動に関しては、
色々なご縁があって、非常に幸運にもこの異動が成立した、と考えており、
関係者の皆様には、非常に感謝しております。
本当にありがとうございました。

少しづつではありますが、
良い研究をすることで、恩返しをしていきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。


そして2つ目に、おそまきながら、本財団より助成を頂きました研究成果の一部が、
ようやく論文として受理されました!! (やりました!!)

リンクはこちら

このルーピンネタはここで出版したい!とかねがね思っていた、
Biology and Fertility of Soilsという国際誌に、
わりとすんなりと受理された、ということで、
この研究の意義や新規性に、改めて自信を持ちました。

この研究の成果を大きく(ざっくりと)説明させて頂きますと、
シロバナルーピン、という、
普通の植物では利用できない難溶性リンを特異的に吸収できるマメ科植物のすごさを、
他のマメ科作物との比較により、分かり易く評価・明示した点にあります。

また、この研究を、作物の生産性がリンによって制限されることが非常に多い、
サブサハラアフリカの代表的な土壌試料2点を使用して行った点も、
今後の研究の方向性として非常に重要であると考えています。

今回の結果から、熱帯の強風化土壌においては、
ルーピンは他のマメ科作物が利用していない(できない?)、
アルミや鉄と弱く結合した無機態リンを特異的に溶かし、
それを吸収していることが示されました。

今後は、この研究で得られた成果を基に、
ルーピンを使用した生産性の向上に関する研究へと発展していきたいと思っています。
(先立つもの=お金はまだ確定していませんが・・・)

このネタ以外にも、
色々と進行中の面白い(と自分では思っている)テーマがいくつもあるのですが、
今回の異動を契機に、
またぼちぼちとUPしていきたいと思います。

というわけですので、
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。


杉原拝

2014年8月26日火曜日

水田での調査を開始しました!

ご無沙汰しております。

とても久しぶりのブログ更新。

少し緊張しますが、
簡単な現状報告を。

助成を頂いたルーピンに関する研究は現在も分析中ですが、
少しずつ面白い成果が出ています。

一つ言えることは、
間違いなく他の植物よりも難溶性リンを吸収している!
ということです。

まぁその事実自体は元々証明されていたことではあるのですが(汗)、
熱帯地域の可給態リン量が少ない土壌においても、
同様のことが起きていることを証明できそうである、
ということは、
将来的なアフリカ地域の食糧問題の解決に、
今回の研究成果が貢献しうることを意味しているため、
とても楽しみです。

さて、それとはまた別に、
現在私が進めている研究を少し紹介したいと思います。

それは冬期湛水田という管理に関する研究です。

冬期湛水という管理は、
慣行法では水を抜き乾燥させる冬期中も、
水を張り続けるという農法です。

この土地管理の良い効果については既に色々な報告がなされていますが、
現在私が取り組んでいるのは、
冬期湛水を行うことで増加する生物多様性の原因に、
土壌中の養分動態がどのような影響を与えているのか?
という課題についてです。

こちらで水田に住む生物調査を継続して進めておられた方と、
話を進めていくうちに、共同研究をさせて頂くことになりました。

これまでに生物関係の研究をしている方と共同研究をしたことがなく、
九州大学に異動したおかげで生まれた縁で喜んでいます。

この研究について、今後また紹介していきたいと思いますが、
今日はひとまず報告まで。

ちなみに下が調査中の写真です。

水田の緑がとてもきれいです!




2014年3月24日月曜日

カンボジアの熱帯林保全と生業

こんにちは、杉原です。

九州大学に異動して、
いきなりではあったのですが、
海外研修の一環として
カンボジアの南西部にあるカルダモン国立公園へ行ってきました。



私が今回赴任した先での教育プログラムの中で、
カンボジアの熱帯林を守るための
様々な研究プロジェクトを学生と一緒に行う過程で
実践的な教育を行う、
ということがカリキュラムの一つとなっており、
今回はその一環で参加してきました。

初カンボジアではあったものの、
これまでに調査をする機会があった
東北タイと生態環境が極めて似ている印象を受け、
とても面白かったです。

また、文系から理系まで
幅広いバックグランドをもった修士学生や、
他分野の先生方と一緒に海外研修をするのは新鮮で、
とても勉強になりました。

少しではありますが、その報告をしたいと思います。

今回はカンボジアの首都のプノンペンから、
南西の町であるChamkar Luongを経て
Kon Kongの方角へ移動し、Thma Bangという村まで移動し、
そこで滞在しながら、現地で実際に行われている森林保全のための活動を研修してきました。

このあたり一帯は、
おそらくは東北タイのほうから続いているのであろう、
砂質な土壌が一様に広がっていました。


標高も0~50mと低く、
トンレサップ湖をはじめとしたこのあたり一帯の低標高地では、
天水田が主な農業のようです。

写真:移動中の水田風景
(乾季中なので作付けはしていないですが)

この低地帯に

ぽっこりと存在する山脈一帯(標高500~1400m)があるのが、
今回訪れたカルダモン国立公園で、
このあたり一帯の森林は
昔のカンボジア内戦時の拠点だったこともあり、
森林が比較的残っており
(それはつい最近まで地雷が残っていたことを意味するそうですが)、
その地域一帯の生物多様性の保全という観点からも、
森林保全が重要視されている地域です。

もちろん植物や昆虫も多様だそうですが、
アロワナが川にすんでいたり、
山奥にはまだトラがすんでいたり、するそうです。
(見たかったですが・・・)

写真:川沿いの森林
(この川にアロワナが住んでいる…らしい)

今回の研修時には
地域住民への聞き取りと、
実際に森林保全を進めている政府関係者の両方に話を聞いたのですが、
個人的に感じたのが、
どこでも同じ課題にぶつかるのですが、
地域住民の生活を守ったうえでの環境保全を行うことの難しさでした。

聞き取りから、
ほんの100年ほど前までは、
焼畑農業
(森林を開拓し焼いて畑を作ったのち、
ある一定の期間耕作を行ったら
その後は休閑させて森林を回復させ、
土壌肥沃度を回復させる農業)
という土地管理が主だったそうで、
昔は極めて持続的だったそうです。

しかし近年の人口増加に伴う外部からの人口流入・増加と、
近代農業技術の発展・普及に伴い、
これまでの手作業では絶対に不可能だった、
極めて大規模な皆伐が実現可能になってきた昨今、
木材輸出のための森林伐採とともに、
農業用地としての森林伐採も、
当地では森林減少の原因となっているそうです。

写真:焼畑実施後の景観
(乾季末に焼く作業を行い、雨季に入るとすぐに播種する)

写真:土壌調査実習中の風景
(砂でした・・・)

ここで注意しておきたいのは、
砂質土壌は、粘土含量が極めて低いために、
無機栄養塩がそもそも乏しく、
土壌有機物保持能も低いために、
いったん土壌劣化が進行してしまうと、
ちょっとやそっとの努力では
復元させずらい土壌だということです。

そういった意味で、
この地域における森林保全の重要性と難しさを痛感しました。
キーワードは持続的な農業とは何か?ということで、
一つの答えになるのかなぁ、と個人的に思ったのは、
現地で少し行われていた胡椒の栽培などに代表される、
商品作物(それも小さくて高価な商品)の栽培ではないか、
と思いました。

マーケットの問題はあるものの、
小規模の農地で手間をかけることでお金を生み出すことも可能だからです。


写真:現地で見つけた胡椒の栽培風景
(食べさせてもらいましたがおいしかったです)

まぁ、難しい、大変だ、と言うのは簡単ですので、
このような条件下でどうやって森林保全が可能となるのか、
もちろんすぐに答えが出る問題ではないですが、
こちらでのプログラムの中で、
学生や先生方とともに時間をかけて、
考えていきたいと思います。

それではまた。


杉原

今回の研修に大変協力していただいた、
CI(Conservation International) の方々には本当に感謝しています。
森林保全活動に少しでも興味がある方は
ぜひ下記HPを除いてみてはいかがでしょうか。