2013年6月29日土曜日

ルーピン栽培 45日経過

皆様

ご無沙汰しておりました。

個人的な事情で最近ばたばたとしており、
前回の投稿から期間があきました。

さて、ルーピンの栽培の経過報告です。

共同研究者で、今回のルーピン栽培をご指導いただいた先生からは、
現在使用している根箱のサイズであれば、
大体1か月程でルーピンは30㎝位の高さに成長し、
それで生育がとまる、という風に伺っており、
その情報を基に今回の栽培実験(あくまでも予備試験ですが)を行っています。

で、下が45日目の写真です。


これ、まだまだ小さい(15㎝位)です。
なぜこんなに小さいのか・・・。
失敗??ではないにせよ、なんか納得が・・・。

実は今回の栽培試験では、
ルーピンの真の実力(というと、言い方が変ですが)を知りたかったため、
窒素等の必要な養分(いわゆる肥料)を与えずに栽培を行っています。

つまり、ルーピンが自力でどれくらいリンを吸えるのか?
ということを知りたかったのです。

そのため、おそらくはこの、
土壌中の養分不足が原因なのだろうと思われます。

確かに振り返ってみると、
最初の10日位まではすくすくと育っていたのが、
20~30日目以降になると、
上に伸びるというよりは、
横に(茎の数が増える)伸びていた印象をうけます。
きっとこの辺りから土壌中の養分がなくなってきていたのでしょう・・・。

まぁ上から見ると
赤ちゃんの手のひらみたいな葉が広がっていて、
かわいいのですが。。。

で、根の張り具合は?というと、


こんな具合になっています。
見た目にも、かなり根が張っているのがわかり、
うれしくなります。

下の方の根の部分を拡大した写真が下になります。



これは上下がさかさまの写真なので、
下から上に根が伸びている所です。

ルーピンの根は、
主に太い主根がまっすぐに下の方へ伸びていきつつ、
その主根からでる細い側根がどんどん伸びてきて、
さらにその側根から細い根がたくさん“わしゃわしゃ”っと伸びてきます。
この、“わしゃわしゃ”っという細い根が、
土壌中の難溶性リンを吸収する際の重要な部位であることが
すでに先行研究等で明らかになっています。

今回の研究の目的の一つに、
この“わしゃわしゃ”根のすぐ近くの土壌(根圏土壌と呼びます)において、
土壌中の難溶性リンがどれくらい可給化しているのか?
に関して、根圏土壌を分析することで明らかにしたいと考えています。

もちろん
最終的にはアフリカ(タンザニア)の土壌を用いて、ですが。

さて、これだけびっしりと根が張っている、とはいえ、
ルーピン自身がたくさんリンを吸収してくれないと、
根圏土壌中の難溶性リンの減少(=可給化)が
明瞭に観測できないことが予想されるので、
ルーピンにはもっと成長してもらわないと困るのです。

そこでひとまず、
いくつかのルーピンには窒素肥料を上げることにします。

おそらくは
あと2週間~4週間ほどで枯れることになる(寿命で)ので、
それまでに出来るだけ大きくなってもらうことを期待します。

それではまた続きを
(次は窒素肥料の効果について、でしょうか?)
報告したいと思いますので、
どうか気長にお付き合いください。

それでは!





2013年6月13日木曜日

アメリカでの学会から帰国しました。

皆様 こんにちは。

前回の投稿でも述べましたが、
先週、アメリカはウィスコンシン州にある、
ウィスコンシン大学マディソン校で開催されていた、
国際学会に参加してきました。

参加した学会の目的は
気候変動という観点から近年注目を浴びている、
炭素の土壌中での動態に焦点を当て、
土壌中にある炭素の存在量推定やその蓄積機構、およびその動態に関して、
ナノスケールでの研究から、国家スケールまでの、
はたまた数時間単位での炭素動態の研究から、数百年単位での炭素動態の研究まで、
極めて多様な炭素動態に関する研究発表を聞くことができました。

かつ、現在世界で、
土壌炭素動態に関する研究方法のトレンド(と個人的には考えている)である
団粒および有機―無機複合体に着目した土壌炭素に関する研究が、
発展してきた背景のようなものが、
多くの著名な研究者らの活発な議論を聞いて、
少し理解できた気がしました。

そういう意味で、
個人的には良い経験になったと思います。

また、
学会後にはウィスコンシン州の農業・酪農・畜産を支える
『土壌』に関しての巡検に参加してきました。

少し話が飛びますが、
私が専門としている『土壌学』では、
しばしば穴を掘り、
そこにある土壌のさまざまな特性を分析することで、
そこにある土壌がどのようにできたのか?
ということを理解することで、
より良い土地管理に役立てる情報を集めています。

まぁ細かい話はさておき、下の写真をご覧下さい。


このような写真を見る機会自体が少ないかとは思いますが、
まず、これが『土壌断面』写真です。
穴を掘って、横から撮影した写真ですね。

写真を見てもらえれば、
上の層位が黒く、
そして1m付近から急激に白くなっているように見えるかと思います。

黒いのは土壌有機物が溜まっている証拠です。

なお、この土壌が出来上がったウィスコンシン州では、
大昔の氷河の移動が起こっていた場所で、
その氷河の移動に伴い削られて蓄積した堆積物が
この土壌の材料になっており(土壌学ではこの材料を母材と呼びます)、
それがこの白い部分を形成しています。

さらに、氷河堆積物が蓄積したのち、
風で飛んできたレスがその氷河堆積物の上に蓄積し、
現在の土壌ができたそうです。

つまり、
この写真の上の茶色の部分はレスが母材で、
その茶色の下にある白い部分は氷河堆積物が母材で、
それぞれ出来上がっているのです。
まぁ平たく言うと、
上と下は違う材料でできている、ということです。

ちょっとわかりにくいですかねぇ・・・。

でもめげずに、この写真も!

この土壌断面は、1つ目の写真のすぐ近く(200mほど)の場所ですが、
この土壌ができた地形が違います。
上の写真は斜面の上部なのですが、
この写真は斜面の下部に位置する場所での土壌断面写真です。
こちらの方が、黒い部分が分厚いことがわかるかと思います。
この理由は何故かといいますと・・・

斜面の上の方から、
表層土壌が斜面の下の方へ蓄積し、
それが(つまり1つ目の写真でいう上の方の黒い部分の土壌が)、
侵食などの結果、斜面の下の方に移動して、
蓄積してきたので、ここまで黒い層位が分厚くなったそうです。

このことは、
生物生産の基盤である土壌を生成する要因としては、
地形も重要なファクターであることを示しています。

まぁこのように、
我々は土壌断面を様々な場面で作成し、
そして土壌試料を採取しつつ、
それぞれの土壌がどうやって出来たのか、
ということも研究しています。

なお、この土壌断面中の黒い部分が、
今回の学会の目的であった、
土壌炭素に相当するもので、
現在、世界中で(もちろん日本でも)、
この土壌炭素の蓄積量を国レベルで面的に推定したり、
あるいはこの土壌炭素量を増加させるための土地管理法を考えたり、
というような研究をしているわけです。


またまた飛びますが、下は大学内での写真です。


うさぎがいました。
結構ひんぱんに遭遇することがあり、
ほのぼのとしました。

また、学会を開催していたホール内では下記のような風景も!!


何かわかりますか?
そう、KIKKOMANと書いているのです!
どうもキッコーマンが大学に寄付講座(のようなもの?)を持っているらしく、
まさかこんな所で出会うとは、
興奮しました。


最後はなんだかとりとめのない投稿になってしまいましたが、
今日はこれで。

次回以降はまたルーピンの話に戻ります。

ではでは。