2014年3月24日月曜日

カンボジアの熱帯林保全と生業

こんにちは、杉原です。

九州大学に異動して、
いきなりではあったのですが、
海外研修の一環として
カンボジアの南西部にあるカルダモン国立公園へ行ってきました。



私が今回赴任した先での教育プログラムの中で、
カンボジアの熱帯林を守るための
様々な研究プロジェクトを学生と一緒に行う過程で
実践的な教育を行う、
ということがカリキュラムの一つとなっており、
今回はその一環で参加してきました。

初カンボジアではあったものの、
これまでに調査をする機会があった
東北タイと生態環境が極めて似ている印象を受け、
とても面白かったです。

また、文系から理系まで
幅広いバックグランドをもった修士学生や、
他分野の先生方と一緒に海外研修をするのは新鮮で、
とても勉強になりました。

少しではありますが、その報告をしたいと思います。

今回はカンボジアの首都のプノンペンから、
南西の町であるChamkar Luongを経て
Kon Kongの方角へ移動し、Thma Bangという村まで移動し、
そこで滞在しながら、現地で実際に行われている森林保全のための活動を研修してきました。

このあたり一帯は、
おそらくは東北タイのほうから続いているのであろう、
砂質な土壌が一様に広がっていました。


標高も0~50mと低く、
トンレサップ湖をはじめとしたこのあたり一帯の低標高地では、
天水田が主な農業のようです。

写真:移動中の水田風景
(乾季中なので作付けはしていないですが)

この低地帯に

ぽっこりと存在する山脈一帯(標高500~1400m)があるのが、
今回訪れたカルダモン国立公園で、
このあたり一帯の森林は
昔のカンボジア内戦時の拠点だったこともあり、
森林が比較的残っており
(それはつい最近まで地雷が残っていたことを意味するそうですが)、
その地域一帯の生物多様性の保全という観点からも、
森林保全が重要視されている地域です。

もちろん植物や昆虫も多様だそうですが、
アロワナが川にすんでいたり、
山奥にはまだトラがすんでいたり、するそうです。
(見たかったですが・・・)

写真:川沿いの森林
(この川にアロワナが住んでいる…らしい)

今回の研修時には
地域住民への聞き取りと、
実際に森林保全を進めている政府関係者の両方に話を聞いたのですが、
個人的に感じたのが、
どこでも同じ課題にぶつかるのですが、
地域住民の生活を守ったうえでの環境保全を行うことの難しさでした。

聞き取りから、
ほんの100年ほど前までは、
焼畑農業
(森林を開拓し焼いて畑を作ったのち、
ある一定の期間耕作を行ったら
その後は休閑させて森林を回復させ、
土壌肥沃度を回復させる農業)
という土地管理が主だったそうで、
昔は極めて持続的だったそうです。

しかし近年の人口増加に伴う外部からの人口流入・増加と、
近代農業技術の発展・普及に伴い、
これまでの手作業では絶対に不可能だった、
極めて大規模な皆伐が実現可能になってきた昨今、
木材輸出のための森林伐採とともに、
農業用地としての森林伐採も、
当地では森林減少の原因となっているそうです。

写真:焼畑実施後の景観
(乾季末に焼く作業を行い、雨季に入るとすぐに播種する)

写真:土壌調査実習中の風景
(砂でした・・・)

ここで注意しておきたいのは、
砂質土壌は、粘土含量が極めて低いために、
無機栄養塩がそもそも乏しく、
土壌有機物保持能も低いために、
いったん土壌劣化が進行してしまうと、
ちょっとやそっとの努力では
復元させずらい土壌だということです。

そういった意味で、
この地域における森林保全の重要性と難しさを痛感しました。
キーワードは持続的な農業とは何か?ということで、
一つの答えになるのかなぁ、と個人的に思ったのは、
現地で少し行われていた胡椒の栽培などに代表される、
商品作物(それも小さくて高価な商品)の栽培ではないか、
と思いました。

マーケットの問題はあるものの、
小規模の農地で手間をかけることでお金を生み出すことも可能だからです。


写真:現地で見つけた胡椒の栽培風景
(食べさせてもらいましたがおいしかったです)

まぁ、難しい、大変だ、と言うのは簡単ですので、
このような条件下でどうやって森林保全が可能となるのか、
もちろんすぐに答えが出る問題ではないですが、
こちらでのプログラムの中で、
学生や先生方とともに時間をかけて、
考えていきたいと思います。

それではまた。


杉原

今回の研修に大変協力していただいた、
CI(Conservation International) の方々には本当に感謝しています。
森林保全活動に少しでも興味がある方は
ぜひ下記HPを除いてみてはいかがでしょうか。



0 件のコメント:

コメントを投稿